【高齢者の働き方】高年齢者雇用安定法改正で変わる?「就業確保措置」「2/2」
- nicesenior001
- 2024年11月11日
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更新日:5月6日
高齢者就業確保措置 (創業支援措置)
◆高齢者の働き方が変わる:改正高年齢者雇用安定法について
2023年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」は、高齢者の就業機会を拡大し、70歳までの就業を支援するための法律です。この改正により、企業は高齢者の就業確保措置を講じる努力義務を負うことになりました。
◆高齢者就業確保措置とは?
□高齢者就業確保措置は、
企業が高齢者の就業機会を確保するために講じる措置です。具体的には以下のような選択肢があります。
1. 定年の引上げ:
定年を70歳まで引き上げる。
2. 定年制の廃止: 定年制度を廃止する。
3. 継続雇用制度の導入:
再雇用制度や勤務延長制度を導入する。
4. 業務委託契約の締結:
70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入する。
5. 社会貢献事業への従事: 事業主が実施する社会貢献事業や、事業主が委託・出資する団体が行う社会貢献事業に従事できる制度を導入する。
□創業支援等措置とは?
創業支援等措置は、高齢者が新たに事業を開始する際に、企業がその支援を行うための措置です。具体的には、業務委託契約や社会貢献事業への従事を通じて、高齢者が自らの能力を活かして働ける環境を提供します。
□シルバー人材センターとは?
シルバー人材センターは、高齢者が地域社会で活躍できるよう支援する組織です。定年退職後も働きたい高齢者に対して、臨時的・短期的な仕事を提供し、生きがいや社会参加の機会を提供します。
全国に多くのセンターがあり、地域ごとにさまざまな活動を行っています。 これらの措置により、高齢者がその能力を十分に発揮し、社会に貢献できる環境が整備されています。高齢者の働き方が多様化する中で、これらの制度を活用して、より豊かなシニアライフを実現していきましょう。
◆就業確保措置は努力義務です?
□措置の対象となる高年齢者については?
「基準を設けて限定することがでる」
●基準の策定に当たっては?
その基準が、法の趣旨、その他の労働関係法令に反しないことや、客観的・具体的であることに留意いただくことが望ましい。
その他に、措置を講じるにあたって、事業主が留意すべき点が「高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針」に定められています。
高齢者にとって「自分の能力を活かして働ける」ように、事業主にとって経験豊富な人材を確保できるように、高年齢労働者と事業主とで、個々によく対話を重ねながら制度設計を行っていくことが重要です。
◆新設された創業支援等措置について!
□創業支援等措置!
【希望する場合は、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度に導入】
●希望する場合は、70歳まで継続的にa、bの事業に従事できる。 a、事業主が自ら実施する社会貢献事業 b、事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業
□社会貢献事業は?
【不特定かつ多数の者の利益に質することを目的とした事業…】
特定の事業が「社会貢献事業」に該当するかどうかは、事業の質や内容等を勘案して個別に判断される。
● たとえば、以下のような事業は、高年齢者雇用安定法の社会貢献事業には該当しない。
特定の宗教の教養を広め、信者を教化育成することを目的にする事業。
特定の公職候補者や公職のある者、政党を推薦・指示・反対することを目的援助とする事業。
●【bの場合の「出資(資金提供)等」とは?】
自社以外の団体が実施する社会貢献事業に従事できる制限を選択する場合、自社から団体に対して、事業の運営に対する出資(寄付等を含む)や事務スペースの提供など社会貢献活動の実施に必要な援助を行っている必要がある。
金額の下限等は定めていまいが、「社会貢献事業の円滑な実施に必要な資金の提供」を行っていることが要件であり、これを基に判断することが求めるれる。
●【「団体」とは…】
bの「d団体」は、公益社団法人に限らません。委託、出資(寄付等)を受けていて、社会貢献事業を実施していれば(社会貢献事業以外も実施していても構わない)どんな団体でもbの「団体」となることができる。
(出典:厚労省)
◆高年齢就業確保措置の留意点は?
□高年齢就業確保措置を講じる際の留意点!
●対象者基準について?
努力義務であるため、基準を設けて、対象者を選定することも可能
対象者基準を設ける際は、事業主と過半数労働組合等との間で十分に協議した上で、過半数の労働組合の同意を得ることが望ましい。
労使間で十分に協議の上で設けられた基準であっても、事業主が恣意的に高齢者を排除しようとするなど法の趣旨や、他の労働関係法令・公序良俗に反するものは認められない(平成24年改正法の経過措置に基ずく対象者基準も考え方は同様)なお、基準は、具体的・客観的であるものが望ましい。
●不適切な例!
会社が必要と認めて者に限る ⇒基準がないことと等しく、改正の趣旨に反する
男性(女性)に限る ⇒男女差別の該当
組合活動に従事していない者に限る ⇒不当労働行為に該当等
●労使で協議すべき事項?
いずれの措置を講じるか? ・高年齢者就業確保措置の5つの措置のうち、いずれの措置を講ずるかについては、労使間で十分に協議を行い、高年齢者のニーズに応じた措置を講じて頂くことが望ましい。
複数の措置を講じる場合は… ・一つの措置により70歳までの就業機会を確保することのほか、複数の措置により70歳までの就業機会を確保することも可能 ・個々の高齢者のいずれもの措置を適用するかについては、当該高年齢者の希望を聴取し、これを十分に尊重して決定する必要がある。
●その他
定年前と異なる業務に就く場合は… ・高年齢者が定年前とは異なる業務に就く場合には、研修、教育、訓練等を行うことが望ましい。 特に、安全または衛生のための教育は必ず行うこと(創業支援等措置を講じる場合にも安全または衛生のための教育教育を行うことが望ましい)
高年齢者の健康・安全確保について… ・高年齢者の健康及び安全の確保のため、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」を参考に就業上の災害防止策に積極的に取り組むことが望ましい
シルバー人材センターへの登録等について… ・シルバー人材センターへの登録や、再就職・社会貢献事業をあっせんする機関への登録等については、高年齢者の就業先が定まらないため、高年齢者就業確保措置とは認められません。
支払われる金銭については… ・就業確保措置(創業支援等措置を含む)において支払われる金銭については、制度を利用する高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮して、適切なものとなるように努めることに留意する必要がある。
※65歳までの継続雇用制度における賃金も同様の考え方です。
◆高齢者に優しい職場(労働者に配慮した職場)を別の記事で紹介
□(参考)高齢者の就業登録先のシルバー人材センターとは?
●シルバー人材センターの仕組みは?
シルバー人材センターは、企業、家庭、官公庁などから業務を受注し、それらを、請負、委任、派遣、職業紹介の形態により、臨時的かつ短期的または軽易な就業を希望する高齢者(会員)に、働く場を提供しています。
シルバー人材センターは、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき、都道府県知事が指定しています。
□シルバー人材センターのイメージは?
(出典:厚労省)
登録や、再就職・社会貢献事業をあっせんする機関への登録等については、高年齢者の就業先が定まらないため、高年齢者就業確保措置とは認められていません。
●支払われる金銭については?
就業確保措置(創業支援等措置を含む)において支払われる金銭については、制度を利用する高年齢者の就業の実態、生活の安定等を考慮して、適切なものとなるように努めることとされています。
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